3、深遠なる愛―母性愛の真髄 深い愛情とは
もし女性には母性愛があるとするなら、男性の対応は父性愛と言えるでしょうか。一般的に、母性愛は愛情によって相手を包み込むものです。対照的に、父性愛は自立を促し、進むべき方向を示すものと言えるでしょう。
ただし、どちらの場合でも、深い愛情が根底にあるのです。
フランスの哲学者、ルソーは次のように述べています。
「女性の支配は優しさ、巧妙さ、そして人を喜ばせようとする心遣いによる支配だ。その命令は愛撫であり、威嚇は涙である」と。
すなわち、女性による支配は、深い愛情に基づいて人を守り育てるためのものであり、その結果として、「女性は家庭を支配する大臣のように支配すべきだ」と結論づけています。
母性というものを機能的な面から見ると、子供を生み育てるという母親としての深い愛情に基づくものと言えます。
確かに、男性が子供を生むことは不可能ですが、その後の子供を守り育てたいという深い愛情自体は、女性のそれと大きく変わらないのではないかと思います。
違いは子供を産み落とすという点だけです。それ以外のことについては、母性も父性も根本的なところでは大きな違いはないのです。つまり、深い愛情そのものは何ら変わることなく存在し、その現れ方にのみ違いがあるのです。
さて、相手に対する深い愛情がより積極的であり、献身的に面倒を見ることは、女性ならではの特徴です。ただし、これを一概に「母性」と呼ぶのは適切ではありません。
というのも、見た目が弱々しく見える男性に対して、何らかの救いの手を差し伸べるというのは、女性に限ったことではありません。
たまたまそれが女性であった場合に、母性が発揮されたとされるだけなのです。要するに、強そうな男強そうな男性でもひ弱そうな男性でも、女性にモテル人はいるもので、逆に好意を持たれなければ、ひ弱さは、たんに“だらしのなさ”として蔑まれた眼で見られるだけなのです。